[虹の光 愛物語 VOL.1 RED ]エピソード.3

3. 雨の降る日

한국소비경제신문 승인 2022.03.21 15:32 | 최종 수정 2022.03.21 17:09 의견 0

空にどんどん低い雲がかかり、風が強く吹くのを見て、なんとなくすぐに晴れそうにないなと思った。イルジュンは窓の外に頭をそろりと出した。ビリヤードの店の息子スンジェが待っていた。

“何してるの、早く出て来いよ!”

上を見上げたスンジェがイルジュンを見つけ大きく叫んだ。もしかしておばあちゃんが聞くかもしれないと思いイルジュンは指を口に当て静かにするよう言った。

‘おばあちゃんから今日は出るなと言われたんだけど。’

イルジュンがため息をついた。ふと昨日かくれんぼをして家に帰る道でした話が頭に浮かんだ。明らかに今日ゲーム機よりも面白い遊びをするんだと言っていたけど、ゲームよりもおもしろい遊びなんて! それは何なのかわからないわけではなかったが、どれだけ考えてもその遊びを諦めることはできなかった。

すでに日が落ちていた。この時間に出ることはほとんどなかった。

‘少しだけ行って来よう’

イルジュンは大丈夫であると自分に言い聞かせた。上着を着てドアを開けこそこそと階段を降りた。家は静かだった。おばあちゃんは外出中か居間で新聞を読んでいるのだろう。イルジュンは誰にもわからないように家を出た。いざ家を出たらより風が激しく吹いてくるように感じた。上着のチャックを上まで上げた。電柱に寄りかかって立っていたスンジェはイルジュンを歓迎した。

“たくさん待ったよ。”

“何して遊ぶんだよ?”

イルジュンは聞いた。スンジェが笑いをこらえられないというように口を噛みしめて少し間を置いた。何のためにそうしているのか知る由もなかった。

“早く言ってみなよ”

イルジュンはスンジェを催促した。

“度胸試し!”

スンジェはすでに期待に満ちた目をしていた。

“僕たちがどれだけ勇敢なのかテストをするんだよ。”

“テスト?”

聞き返すイルジュンの声は少しだけ震えていた。スンジェが頷いた。遊び心いっぱいの顔だった。

“うーん…どのようにするんだい?”

“公衆トイレに一人で行っておしっこしてくるんだよ!”

スンジェが,くすくすと笑った。これが面白い遊びだなんて。そんなことなら風邪をひいて体がしんどいという言い訳を作ってでも外に出なかったのに。イルジュンは突然怖気づいた。普段怖いものは苦手なイルジュンだった。

“もう、怖気づいたのなら帰っても大丈夫だよ!そのかわり臆病者だとからかってあげるよ”

スンジェが脅してきた。そうしてはイルジュンを凝視してきた。遊び心満載の幼い表情で満たされていた。ここまできて手を引くことはできなかった。そのままもう一度家に帰ってしまったら臆病者に見られてしまうだろう。長い間からかわれるであろうことはわかりきっている。スンジェにはほかの友達も多く自分が臆病者だという噂が広まってしまう可能性も十分にあり得る。そこまでされては自尊心が傷つく。

“おもしろそうだね。すぐにやりに行こうじゃないか”

イルジュンは慌てて言った。そして空を見上げた。低く敷き詰められた暗雲の流れていく速さが尋常ではなかった。ひんやりとした風が時折吹いてきた。イルジュンはゆっくりため息をついた。すでに尿意を感じているようだった。しかしスンジェのいたずらのことはすぐに忘れおしゃべりに夢中になった。

*

慣れた道だった。イルジュンにとっては以前少女と一緒に歩いた道であったという記憶がわいてきた。その記憶を思い出しながらイルジュンは少女に会いたくなったがそのあとに体がすくまった。いつの間にか町の慣れた道からは遠くなり、街角がより暗くなったというよりは真っ暗になっていた。しかしむしろ怖さは少しずつなくなっているように思った。いつのまにか二人の子供は上り坂の入り口を通り過ぎていた。

物寂しい風が木の幹を揺らした。地面は湿気を帯びて少し濡れていた。ふとイルジュンの頬にしずくが落ちてきた。イルジュンが手の甲で頬を拭った。スンジェもしずくを受けたのかびっくりしてイルジュンのほうを見つめていた。

“雨が降ってくる!”

イルジュンが叫んだ。どうにかしたら度胸試しも出来なくなるのではないかと考えた。いや、いっそのこと雨がたくさん降ってきてなくなってくれたほうがより良かった。スンジェは足を早めた。イルジュンもスンジェにしたがって早く歩いた。スンジェは曲がりくねって暗い道を迷いもせずによく登って行った。スンジェにとっては慣れた道のようだった。それに対してイルジュンは靴底が滑りしばしば取り残された。そのたびにスンジェは歩みを止めイルジュンが登ってくるまで待った。

予想していた通り最初は一つ二つしずくが落ちるだけだったが一瞬のうちににわか雨に変わった。雨の音がかなり強かった。二人はとても驚き上り坂を当てもなく走った。すべてびっしょりと濡れていった。

ドゥリュ公園についた。強く降ってくる雨のせいで前が鮮明に見えないが、ぼんやりと見えるあの商店街の光の中にドゥリュ理髪店があるのは明らかだった。

彼らはこじんまりとして、つるの張っている屋根の下に避難し、並んで縮こまって座った。やっとのことで二人が座ることのできるくらいの狭い空間であった。すべて濡れてしまい不快であったがどうしようもなく、くっついて座っていなければならなかった。屋根の下に水が少しずつ漏れてきた。しかし、外にいるよりは断然ましなのでだれも不平を言わなかった。

雨は止むことがないように思えた。それでも幸運だったのは風がほとんど吹かずに前よりも寒くはなかったということだ。たっぷり濡れてぴったりとくっつく服のせいで体につるがあたるたびに痛みもあり、かゆくもあった。イルジュンは険しい顔をした。スンジェは濡れた服と頭をむやみにはたいていた。

“そんな風にして乾くか?”

“しないよりはましさ”

イルジュンは考えにふけった。どうせスンジェのほかに誰もいないんだし、そのまま服を脱いでしまおうかと思った。

そのようなことを悩んでいるや否やスンジェがもう、あぁ、どうにでもなれと言って服を脱ぎ始めた。脱いだ服をぎゅっと絞ってみたら水がだらだらと流れた。待っていたとばかりにイルジュンもうわぁと叫びながら服を脱いだ。スンジェはさらにひねくれてズボンも脱ぎ捨てた。イルジュンがスンジェのすべて濡れたパンツを指さしてけたけた笑った。スンジェがにこりと笑ったと思ったらイルジュンのズボンをぐいっと下げた。うわぁと言ってイルジュンは座り込んでしまった。スンジェも同じだった。二人はお互いを見てけたけたと笑った。パンツはたちまち土だらけになった。つるの伸びた屋根の下で二人の子供はそのように滑稽なパンツ野郎になってしまった。一度大爆笑してしまったのでそのあとも収集がつかなかった。寒い雨の中でどのくらい笑いお互い水を切りながら遊んだのかわからなかった。この状況が楽しくてイルジュンは今日がかなり寒い日であるということをしばらくの間忘れていた。

そのようにし遊びながら突然疲れ果てた二人は雨が止むまでおとなしく座っていることにした。スンジェは寒いと言いながらこくりこくりと居眠りしていた。イルジュンは眠くならなかった。屋根の下にはドゥリュ理髪店がある建物が一目で見える。イルジュンはそこのはっきりしない火の光を長い間凝視していた。風が激しく揺らす幕のシルエットが見えた。一つだけではないような気がするがとても暗くて何と書いてあるのかよく見えなかった。

“度胸試しは今度するか?”

突然スンジェが唇をぶるぶる震わせながら聞いた。今まで聞いてきた中で喜ばしい提案にイルジュンはひっきりなしにうなずいた。

“そうだね。僕はお腹すいた。”

“それに寒い。”

“今日はこのまま家に帰ろう。”

イルジュンが少しかがんで立ちあがり外に出た。雨は弱くなったが暗くてとても危険に見えた。二人はお互いの手をつかんで登ってきた道を再び降り始めた。歯をがちがちさせながらも、イルジュンは何度も後ろを振り返った。

山下に降りて大通りを歩いていた二人の幼い子供は驚いた。すでに町ではイルジュンとスンジェを探すための作業が進められている最中であった。普段は市場の後門の方には豆電球が切れてからは一回も新しいものに変えなかったので夜になると裏通りのように暗いのが当たり前だった。だが普段とは打って変わって市場の後門の方が明るいように感じた。人々の声も聞こえるような気がした。少しずつ近づいてくる火の光を見て、二人は先を争ってむやみに走り始めた。ぎゅうぎゅうとこみあげてきた恐怖があっという間に大きくなったせいだ。スンジェは完全にわんわん泣いていた。

“あそこから誰か来る!”

市場の後門の方で誰かが叫んだ。イルジュンは目を細めた。ざわめきが大きくなり、遠くでおばあちゃんが傘を持って走ってくる姿が見えた。干物やのおじさんとビリヤード店のおじいちゃんも後ろに続いて走ってきた。

“おばあちゃん!”

イルジュンがおばあちゃんの胸の中で抱かれた。

“どこに行ったら今更帰ってくるんだい! どうしよう、こんなにびしょ濡れで”

おばあちゃんがイルジュンのお尻をひっきりなしにたたきその言葉を忘れることはできなかった。イルジュンはとても痛かったが寒気が襲ってきて普段のように素早く逃げることもできなかった。いきなり疲労感がどっときた。おばあちゃんがイルジュンに毛布を掛けてあげ傘をさしてくれた。しばしば肩が痛かった。さっき服を脱いで狭い屋根の下で集まり座っているときにつるでひっかいたようだ。

“この餓鬼ども!とても怖かったんじゃないか、うん?”

干物屋のおじさんがイルジュンの濡れた髪を手でむやみやたらに拭いては豪快に笑った。そのおかげでイルジュンもうっかりにっこりと笑ってしまった。

“何がよくできたと思って笑うのよ、笑うなんて。”

おばあちゃんはそのように言ったが無事に戻ってきただけでも安堵したのかイルジュンをぎゅっと抱いた。

“子供たちはみな無事です!”

誰かの声を最後に市場の灯の光は完全に消え、人々が安堵しながら一人二人と帰っていった。子供たちはちゃんとした挨拶もできないまま、各自の父母の手に引かれ別れた。

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